こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。
さて、2023年10月から始まったインボイス制度について、皆様の店舗では対応が順調に進んでいるでしょうか?制度開始から時間が経過した今だからこそ、改めて飲食店が押さえるべきポイントを確認し、ネクストアクションを明確にしていきましょう。
✅ 飲食店が「適格請求書発行事業者」であることの重要性
飲食店の場合、顧客は一般消費者だけでなく、接待や会食などで利用する法人客も重要な顧客層です。
法人客の継続利用: 法人客は、経費として処理するために**適格請求書(インボイス)**を必要とします。インボイスを発行できないと、その法人客は他のインボイス対応店へ流れてしまうリスクが高まります。
売上の維持・向上: 法人利用が多い店舗や、今後法人客を増やしたい店舗にとって、**「インボイス対応済み」**であることは、売上を維持・向上させるための重要な競争力となります。
【ネクストアクション】
法人客の利用頻度を再確認し、インボイス対応が自社の事業継続に不可欠なリスクであるかを評価しましょう。
登録済みであれば、店頭やWebサイトなどで**「インボイス対応店」**であることを分かりやすく告知しましょう。
🧾 適格簡易請求書(簡易インボイス)の再チェック
飲食店や小売業など、不特定多数に販売を行う事業者は、記載事項が一部簡略化された**「適格簡易請求書(簡易インボイス)」**をレシートや領収書として交付することができます。
簡易インボイスとして認められるためには、次の項目の記載が必要です。
適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)
税率ごとに区分した消費税額等、または適用税率
特に、店内飲食(10%)とテイクアウト(8%)のように複数税率を扱っている飲食店は、税率ごとの区分が正しく行われているかを改めて確認しましょう。
【ネクストアクション】
現在のレシートや領収書のフォーマットが上記の要件をすべて満たしているかチェックリストで確認しましょう。
手書き領収書を発行する場合に備えて、登録番号のスタンプなどを活用し、従業員の記載ミスを防ぐ仕組みを徹底しましょう。
💻 レジ・システムの導入状況と経理業務の効率化
インボイス制度への対応は、経理業務の負担増に直結します。特に、インボイス対応のレジや会計システムを導入しているかどうかで、日々の業務効率が大きく変わります。
POSレジ・会計システムの活用:
適格簡易請求書の発行がスムーズに行える
売上や仕入の税区分(8%・10%)ごとの集計が自動化される
交付したインボイスの7年間保存義務に対応できる(電子ジャーナル機能など)
【ネクストアクション】
現在使用しているレジや会計ソフトが、正しくインボイスに対応できているかを、改めてベンダーに確認しましょう。
もし非対応部分があれば、IT導入補助金などを活用したシステムの見直しを検討しましょう。
🛒 仕入先からのインボイスの確認
飲食店は、食材や備品などの仕入れが多い業種です。仕入先から受け取る請求書や領収書が**「適格請求書」でなければ、原則として仕入税額控除**が受けられず、消費税の納税額が増えてしまいます。
仕入先の登録状況確認: 主要な仕入先が「適格請求書発行事業者」として登録されているかを確認し、インボイスの交付を受けているかをチェックしましょう。
経過措置の把握: 免税事業者からの仕入れであっても、制度開始から6年間は経過措置として一定割合の控除が可能です。この期間と控除割合を把握しておきましょう。
【ネクストアクション】
主要な仕入先リストを作成し、インボイス対応状況(登録番号の有無)を改めて確認・記録しましょう。
🤝 リスクマネジメントサポートのご案内
インボイス制度への対応は、単なる税制変更ではなく、顧客維持や資金繰りに関わる重要なリスクマネジメントの一つです。
有限会社金城企画では、貴社の事業形態に合わせた制度対応のリスク評価を行い、適切な対策を講じるためのリスクマップ作成のお手伝いも行っております。ご不明点やご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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🔜 次回予告
次回の第16回は、「税務調査・税金トラブルを防ぐ経理の基礎」をテーマにお届けする予定です。インボイス対応で煩雑化した経理業務が、思わぬ税務リスクにつながらないよう、基本をしっかり押さえます。どうぞご期待ください。
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