2025年8月3日日曜日

第5回 事故発生!その時どうする? - 迅速な初期対応と情報共有の仕組み

こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。

さて、前回は従業員を「リスクマネージャー」に育てるためのヒヤリハット共有やマニュアル作成の重要性についてお話ししました。どんなに予防策を講じても、残念ながら事故はゼロにはなりません。今回は、万が一の事態が発生した際の「初期対応」と「情報共有」のポイントについて解説します。


第5回 事故発生!その時どうする? - 迅速な初期対応と情報共有の仕組み

リスクマネジメントは、リスクを未然に防ぐことだけではありません。もしも事故が起きてしまった時に、いかに被害を最小限に抑え、事態を速やかに収束させるか、その対応力が問われます。特に飲食店では、お客様や従業員の安全、そして店舗の信頼に関わるため、迅速かつ適切な初期対応と情報共有が非常に重要です。

事故発生時の初期対応3つの原則

事故が発生した際、パニックにならず、冷静に対応するための基本的な原則を頭に入れておきましょう。

  1. 人命の安全確保が最優先 何よりもまず、お客様や従業員の安全を確保してください。怪我人がいれば応急処置を行い、必要であれば速やかに救急車を呼びましょう。火災であれば初期消火、無理なら避難誘導が最優先です。

  2. 二次被害の防止 事故現場がさらなる被害を生む可能性がないか確認し、その拡大を防ぐ措置を講じます。例えば、床に液体がこぼれていれば滑らないよう表示をしたり、使用禁止にしたりするなどです。

  3. 情報と証拠の保全 事故の状況を正確に把握するため、写真や動画で記録し、関係者の証言をメモするなど、できるだけ多くの情報を保全してください。これは後の原因究明や保険対応、法的な問題解決のために不可欠です。

ネクストアクション:情報共有の仕組みを構築する

事故発生時の対応と同様に重要なのが、関係者間での迅速かつ正確な情報共有です。情報が滞ると、誤解や不信感を生み、事態を悪化させる可能性があります。

  • 誰に、何を、いつ、どう伝えるかを事前に決める

    • 店舗内での共有: 店長、責任者、該当従業員間で速やかに状況を共有し、初期対応の指示を仰ぎます。

    • お客様への対応: 状況に応じて、謝罪、説明、今後の対応方針など、適切なお客様対応を行います。感情的にならず、誠実な姿勢が重要です。

    • 社内・本部への報告: 規模に応じて、本部の担当者や経営層へ速やかに報告します。報告内容(日時、場所、概要、現在の状況、対応状況、今後の見込みなど)をテンプレート化しておくとスムーズです。

    • 外部機関への連絡: 必要に応じて、警察、消防、保健所、保険会社など、関係する外部機関へ連絡します。特に食中毒の疑いがある場合は、保健所への報告は必須です。

  • 連絡フローの明確化 緊急連絡網や、誰がどの情報を、誰に、どのツール(電話、チャット、メールなど)で連絡するかを事前に決めておきましょう。緊急時に迷うことなく行動できるよう、訓練しておくことも有効です。


飲食店経営において、トラブルは避けられない側面もあります。しかし、事前の準備と、万が一の際の適切な行動計画があれば、被害を最小限に抑え、お店の信頼を守ることができます。

次回は、これまでの5回にわたるリスクマネジメントの連載のまとめとして、総括と今後の展望についてお話しします。

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