2025年11月29日土曜日

第18回 食中毒発生!緊急時の初動対応と風評被害対策

こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。

さて、飲食店経営において、どれだけ衛生管理を徹底していても「食中毒」のリスクをゼロにすることはできません。万が一、食中毒が発生した場合、その後の対応次第で、お店の存続が危ぶまれる事態にもなりかねません。

今回は、食中毒発生時における「緊急時の初動対応」と、その後の「風評被害対策」に焦点を当て、経営者の皆様がネクストアクションをすぐに起こせるよう、具体的なステップをご説明します。

1. 緊急時の初動対応:最初の24時間がお店の命運を分ける

食中毒の疑いが発生した場合、最初の対応の速さと正確さが、被害の拡大を防ぎ、行政からの信頼を維持する鍵となります。

📌 ステップ1:お客様の安全確保と状況把握

  • お客様への最優先対応:
  • 体調不良を訴えるお客様がいたら、すぐに医療機関への受診を促し、費用負担についても迅速に検討・伝達します。
  • お客様の氏名、連絡先、来店日時、飲食したメニューなど、詳細な情報を記録します。
  • 症状発生の確認:
  • 発症者が一人でも発生したら、「食中毒の疑いがある」という前提で動きます。

📌 ステップ2:行政機関への迅速な連絡

  • 保健所への連絡:
  • 医師から食中毒の届出があった場合や、複数の体調不良の訴えがあった場合は、直ちに所轄の保健所に連絡し、指示を仰ぎます。
  • 検査協力と証拠保全:
  • 保健所の立ち入り検査に全面的に協力するため、原因となった可能性がある料理の提供時の残品原材料(ロット、納入日なども)、調理器具従業員の検便結果などの証拠を一切手を付けずに保存します。

📌 ステップ3:営業の自粛と社内体制の構築

  • 自主的な営業自粛の検討:
  • 保健所の判断を待たず、食中毒の疑いが濃厚であれば、自主的に営業を自粛することを強く検討すべきです。これは、お客様の安全を守る姿勢と、問題解決への真摯な態度を示すことに繋がります。
  • 危機対策チームの編成:
  • 代表者、衛生管理者、広報担当者などからなる緊急対策チームを結成し、情報の一元管理と対応窓口を確立します。

ネクストアクションのヒント: 食中毒の症状(嘔吐、下痢など)について保健所から聞かれた際にすぐ答えられるよう、お客様のヒアリングシートを事前に作成しておきましょう。

2. 風評被害対策:信頼回復に向けた情報発信と経営改善

行政処分が解除されても、世間の「食中毒を出したお店」というイメージは簡単には消えません。風評被害を最小限に抑え、信頼を回復するための対策が必要です。

📌 ステップ4:正直かつ誠実な情報公開

  • 公式な謝罪と経緯の説明:
  • ホームページや店頭に、代表者名で、謝罪文、事態の経緯、保健所の調査結果、再発防止策を明確に公表します。
  • 「ご心配とご迷惑をおかけしました」という姿勢を最前面に出し、隠蔽を疑われるような対応は絶対に避けます。
  • SNS・レビューサイトへの対応:
  • インターネット上の憶測や誤情報に対しても、公式情報に基づき、冷静かつ迅速に対応します。感情的な反論は厳禁です。

📌 ステップ5:再発防止策の徹底と「見える化」

  • 原因の深掘りと改善実行:
  • 保健所の指導に加え、自社で原因を徹底的に深掘りし、衛生管理マニュアルを改訂します。
  • 特に問題となった工程(加熱温度、食材の保存方法など)を重点的に改善します。
  • 「安心」の見える化:
  • 改善した内容(例:調理器具の洗浄記録の公開、従業員の再教育の実施、第三者機関による衛生チェックの導入)を店頭やSNSで積極的に情報発信します。お客様に「ここまで徹底して変わった」と感じていただくことが重要です。

ネクストアクションのヒント: 衛生管理体制を「事件前」と「事件後」でどう強化したか、具体的な数字や写真(例:新しい洗浄機、温度計の校正記録)で示し、お客様に再来店への安心感を与えましょう。

💡 リスクマネジメントは経営の土台です

食中毒リスクは、一店舗だけでなく、チェーン全体のブランドイメージを崩壊させる破壊力を持っています。今回の事態を想定した対応手順書(BCP)の整備は不可欠です。

有限会社金城企画では、貴社の業務実態に合わせた「食中毒発生時の緊急時対応フロー」を含むリスクマップ作成のお手伝いが可能です。創業50年で培った経験を基に、有事に即座に対応できる体制づくりをサポートいたします。お気軽にご相談ください。

次回予告

第19回は、「アレルギー表示と提供時の注意点 誤食トラブルを防ぐ」について解説します。特定原材料の表示義務はもちろん、スタッフ間の情報共有ミスを防ぎ、大切なお客様を「誤食トラブル」から守るための実践的な手順に焦点を当てていきます。ぜひご覧ください。

有限会社金城企画 代表取締役 荒瀧


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​ こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。 さて、飲食店経営において、どれだけ衛生管理を徹底していても「食中毒」のリスクをゼロにすることはできません。...