こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。
さて、今回のテーマは、「食品表示・景品表示法コンプライアンス 広告とメニュー表示の注意点」です。
飲食店経営において、料理の品質やサービスはもちろん重要ですが、お客様に提供する情報、特に「広告」や「メニュー表示」の正確性は、企業の信頼性を左右する非常に重要なリスクマネジメント要素となります。SNS、ウェブサイト、店頭ポスター、そしてテーブルに置かれたメニューに至るまで、お客様が目にするすべての情報がコンプライアンスの対象です。
🧐 飲食店経営者が認識すべき二つの法律
飲食店が特に注意すべき表示に関する法律は、主に以下の二つです。
1. 食品表示法(アレルギー、原産地などの表示)
主にテイクアウトや持ち帰り、通販で販売する加工食品に適用されますが、特定のアレルギー物質や原産地表示など、メニュー表示や口頭での説明が求められるケースもあります。特に近年、アレルギー対応や原材料の正確な情報開示に対する消費者の意識は高まっています。
2. 景品表示法(不当表示の禁止)
一般に「景表法」と呼ばれる法律で、メニューや広告における「嘘や誤解を招く表示」を禁止しています。
優良誤認表示の禁止:
事実と異なる表示: 「国産黒毛和牛」と謳っているのに、実際は外国産の牛肉を使用していた、など。
誇大な表示: 実際よりも著しく優良であると誤認させる表示。例えば、ごく一部に高級食材を使っているだけなのに、全体が高級であるかのように誤認させる表現など。
有利誤認表示の禁止:
価格や取引条件について、実際よりも著しく有利であると誤認させる表示。二重価格表示(元の価格を偽るなど)がこれにあたります。
🚨 ネクストアクションを促すためのチェックポイント
法令違反は、「行政処分」だけでなく、「SNSでの炎上」や「ブランドイメージの失墜」という形で、直接的な経営リスクにつながります。以下の点をネクストアクションとして点検しましょう。
✅ チェックポイント1:メニューの原材料表示の裏付け
「当店自慢の〇〇牛使用!」や「天然マグロ限定!」といった売り文句は、その表示を証明できる確固たる裏付け資料(仕入れ伝票、産地証明書など)が常に手元にありますか? もし仕入れ状況によってやむを得ず代替品を使う可能性がある場合は、「やむを得ず変更となる場合がございます」といった但し書きが必要です。
✅ チェックポイント2:写真と現物の同一性
ウェブサイトやメニューに掲載されている料理の写真は、実際に提供される料理と著しい差はありませんか? 例えば、具材の量が極端に少ない、食器が全く違う、といった場合は景品表示法上の問題となる可能性があります。撮影時の「盛り付け」を再現するためのマニュアル化が重要です。
✅ チェックポイント3:二重価格表示の適正化
セールやキャンペーンで「通常価格〇〇円のところ→今だけ〇〇円」といった表示をする場合、「通常価格」が本当に相当期間販売されていた実績のある価格であることを証明できますか? 架空の「通常価格」を設定して割引率を大きく見せる行為は、有利誤認表示に該当します。
🤝 リスクマネジメント体制の構築を
表示ミスや誇大広告の多くは、「知らなかった」、「大丈夫だろう」という認識の甘さ、そして「チェック体制の不備」から生まれます。
広告担当者、メニュー作成者、現場の責任者が連携し、第三者の目でチェックする仕組み(ダブルチェック)の導入が必須です。
有限会社金城企画では、お客様の店舗運営実態に合わせた「広告・メニュー表示に関するリスクマップ作成」のお手伝いが可能です。リスクの所在を明確にし、具体的な対応策を講じることで、安心して事業を継続できる体制づくりをサポートいたします。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
バックナンバー
第9回 カスタマーハラスメント対策 お客様との信頼関係を守る対応術
第13回 防火・防災対策の強化とBCP(事業継続計画)の策定
次回予告
次回、第15回のテーマは、「インボイス制度対応の再確認 飲食店が押さえるべきポイント」です。制度開始から一定期間が経過しましたが、改めて適格請求書発行事業者としての対応状況や、免税事業者との取引における注意点などを確認していきます。
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