第7回 労働時間・残業代トラブルを防ぐ勤怠管理の徹底
こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。
さて、前回まで6回にわたって、飲食店経営におけるさまざまなリスクについてお話ししてきました。今回からは、特に多くの経営者が直面しやすく、かつ経営に大きな影響を与える法的・労務関連のリスクに焦点を当てていきます。
第7回目のテーマは「労働時間・残業代トラブルを防ぐ勤怠管理の徹底」です。
飲食店経営において、労働時間や残業代に関するトラブルは決して珍しくありません。特に、人手不足が常態化している状況では、ついつい労働時間が長くなりがちです。しかし、勤怠管理が曖昧なまま放置しておくと、未払い残業代の請求や労働基準監督署からの是正勧告など、深刻な事態を招く可能性があります。
なぜ勤怠管理が重要なのか?
労働基準法では、労働者の労働時間や休憩時間、休日などを厳しく定めています。これらを遵守することは、コンプライアンスの観点からも非常に重要です。
未払い賃金の発生リスク: 従業員がどれだけ働いたかを正確に把握していないと、知らず知らずのうちに未払い残業代が発生している可能性があります。これが積み重なると、後日まとめて高額な請求を受けることになりかねません。
労働基準監督署からの指導・勧告: 勤怠管理が適切に行われていないと、労働基準監督署の監査が入った際に指導や勧告を受けることがあります。場合によっては罰則の対象となることもあります。
従業員との信頼関係の悪化: 「きちんと残業代を払ってもらえない」「休憩時間が取れない」といった不満は、従業員のモチベーション低下や離職につながります。
いますぐできるネクストアクション
では、具体的にどのような対策を講じればよいのでしょうか。
勤怠管理ツールの導入を検討する: タイムカードや手書きの出勤簿も有効ですが、より正確な勤怠記録のためには、クラウド型の勤怠管理システムやタイムレコーダーの導入がおすすめです。打刻データが自動で集計されるため、計算ミスを防ぎ、管理コストを大幅に削減できます。
労働時間・休憩時間のルールを明確にする: 就業規則や雇用契約書に労働時間や休憩時間について明記し、従業員にも周知徹底させましょう。「休憩は必ず○時から○時まで取る」といった具体的なルールを設けることも効果的です。
定期的な勤怠データのチェック: 毎日、または週に一度は勤怠データをチェックする習慣をつけましょう。長時間労働になっている従業員がいないか、休憩が適切に取られているかを確認し、必要に応じて勤務シフトの見直しや業務分担の調整を行いましょう。
労働時間の削減に努める: そもそも残業が発生しないような業務フローを構築することも大切です。例えば、ピークタイムの人員配置を見直したり、業務のIT化・効率化を検討したりするのも良いでしょう。
飲食店経営におけるリスク管理は、一朝一夕にできるものではありません。しかし、一つひとつ課題をクリアしていくことで、より強く、安定した経営基盤を築くことができます。
次回予告
次回は「ハラスメント対策は待ったなし! 安心して働ける職場づくり」をテーマにお話しします。
パワハラ、セクハラ、マタハラなど、様々なハラスメントのリスクと、それを未然に防ぐための具体的な対策について掘り下げていきます。
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