こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。
さて、今回のテーマは、飲食店経営において見落とされがちな「税務調査・税金トラブルを防ぐ経理の基礎」です。
美味しい料理を提供し、お客様に喜んでいただくことはもちろん重要ですが、事業を安定的に継続していくためには、「お金の管理」、つまり「経理」が不可欠です。経理がおろそかになると、意図せず税金トラブルに巻き込まれたり、最悪の場合は税務調査で追徴課税を受けたりするリスクが高まります。
「うちは規模が小さいから大丈夫」「税理士に任せているから」と油断せずに、経営者として最低限知っておくべき経理の基礎と、いますぐ取り組めるネクストアクションをご紹介します。
🧐 税務調査で特に見られる「飲食店特有のポイント」
税務署が飲食店を調査する際、一般企業と比べて特に重点を置く項目があります。これらは、売上や経費の計上が正しく行われているかを確認するための重要な手がかりとなるからです。
1. 売上の計上漏れ・除外
飲食店は現金商売の比率が高いため、売上をごまかしやすいと見られがちです。
レジの記録と帳簿の突合: 日々のレジの締め作業と、それを元にした売上帳や銀行への入金記録が一致しているかを確認されます。
客席数・仕入れとの比較(推計課税の根拠): 帳簿上の売上が、店舗の席数や仕入れた食材の量に対して著しく少ない場合、「売上を除外しているのではないか」と疑われる可能性があります。
2. 架空経費・プライベート経費の混入
事業に無関係な支出を経費として計上していないかがチェックされます。
食材の仕入れと試食・まかない: 仕入れ量が売上に対して過大でないか。まかないや試食として計上する際のルールが明確になっているか。
領収書の裏付け: 飲食店の性質上、夜間のタクシー代や接待交際費が多くなりがちです。**「誰と、どのような目的で、どこで」**利用したのか、領収書の裏などに必ずメモを残し、事業関連性を明確にしてください。
家事関連費の区分: 経営者の自宅兼店舗の場合、電気代や家賃などを事業用とプライベート用で合理的な基準で按分しているか。
🛠️ 税務調査・トラブルを防ぐためのネクストアクション
飲食店経営者の皆様が「今すぐ」できる、経理体制を強化するための具体的な行動をご紹介します。
ネクストアクション 1:日々の「現金管理」を徹底する
✅ 日次決算の習慣化: 営業終了後、必ずレジの現金残高とレジの記録(ジャーナル)を照合し、過不足がないかを確認します。その日の売上額を日次で記録する習慣をつけましょう。
✅ プライベート資金との厳格な分離: 事業用の売上金は、必ず事業用の銀行口座に入金し、プライベートな支出は事業用の現金から出さないように徹底します。経営者が個人的にお金を引き出す際は、「事業主貸」として明確に記録してください。
ネクストアクション 2:「証拠書類」の管理体制を構築する
✅ 領収書・レシートの即時整理: 経費を支払ったら、日付順にファイルに貼り付け、何の経費か、事業と関連があるかを簡単にメモします。「あとでまとめて」は紛失や計上漏れの原因になります。
✅ 請求書・契約書のデータ化と保存: 仕入れの請求書や賃貸契約書など、重要な書類はデータでバックアップをとり、紙の原本は7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)保管することを原則とします。
ネクストアクション 3:「経理知識」のアップデート
✅ 「損益計算書(P/L)」を毎月確認する: 税理士に丸投げせず、毎月の売上、原価、利益を必ずチェックしましょう。自分の事業の「体力」を把握することが、節税や経営改善の第一歩です。
✅ 税理士との連携強化: 「これは経費になるか?」と疑問に思った時点で、遠慮なく税理士に相談する習慣をつけましょう。曖昧なまま計上しないことが、トラブルを未然に防ぐ最善策です。
🤝 貴社のリスクマネジメントをサポートします
経理の基礎を固めることは、不正会計のリスクや、税務上のリスクを低減する上で非常に重要です。しかし、飲食店の抱えるリスクは、食中毒や異物混入、従業員トラブルなど、多岐にわたります。
当社では、税務調査リスクを含めた事業全体のリスクを可視化する**「リスクマップ」作成のお手伝い**が可能です。リスクの優先順位をつけ、効果的な対策を講じることで、本業である店舗運営に集中できる環境づくりをサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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