2025年12月6日土曜日

第19回 アレルギー表示と提供時の注意点 誤食トラブルを防ぐ

 

こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。

さて、第19回目となる今回は、食物アレルギーという、飲食店経営において決して無視できない重要なリスクに焦点を当てます。

近年、食物アレルギーを持つお客様は増加傾向にあり、ひとたび誤食トラブルが発生すれば、お客様の健康を脅かすだけでなく、信用の失墜重大な賠償問題にもつながりかねません。適切な表示と細心の注意をもって提供することが、お客様とお店を守る唯一の方法です。


1. 徹底すべきアレルギー表示の基本

食物アレルギー対応の基本は、正確で分かりやすい情報提供です。

表示義務のある特定原材料7品目

エビ、カニ、小麦、そば、卵、乳、ピーナッツの7品目は、生命に関わる重篤な健康被害を引き起こす可能性が高いため、表示が義務づけられています。

表示を推奨されている特定原材料に準ずるもの21品目

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの21品目は、可能な限り表示することが推奨されています。

ネクストアクション:メニューブックの再確認と原材料リストの整備

  • メニューブック:アレルゲン表示をメニューの全品目に対して明確に記載し、一目でわかるようにしてください。

  • 原材料リスト:使用する全ての食材について、各アレルゲン(調味料や加工品を含む)がどれに含まれているかを整理した最新の原材料リストを作成し、厨房スタッフ、ホールスタッフ全員がアクセスできるようにしてください。


2. 提供時のヒューマンエラーを防ぐためのオペレーション

表示が正確でも、調理や提供の過程でアレルゲンが混入(コンタミネーション)してしまえば、トラブルは発生します。

調理場でのクロスコンタミネーション対策

アレルギー対応の調理を行う際は、他の食材と混ざらないよう、調理器具、まな板、手袋を替えることは基本中の基本です。特に揚げ物や焼き物は、共通の油や鉄板の使用を避ける必要があります。

ホールでの確認徹底

お客様からアレルギーの申告があった場合は、必ず以下の手順を踏んでください。

  1. 復唱確認:お客様がアレルギーを持つ食材を正確に復唱し、聞き間違いがないか確認する。

  2. 調理責任者への伝達:伝票に目立つようにアレルゲンを記載し、調理責任者に口頭で直接伝達する。

  3. 配膳時の最終確認:料理を提供する際、ホールスタッフがお客様に対して**「〇〇(アレルゲン)不使用のメニューでございます」**と再度確認する。

ネクストアクション:「アレルギー対応専用マニュアル」の作成

アレルギー申告があった際の受付・調理・提供における具体的な手順を定めた専用マニュアルを作成し、全従業員に対する定期的なロールプレイング研修を実施してください。特に、新人スタッフへの教育は徹底が必要です。


3. 誤食トラブル発生時の緊急初動対応

万が一、誤食による体調不良(アナフィラキシーショックなど)が発生した場合、初期対応の遅れは命に関わります。

  1. 医療機関への連絡:ただちに救急車(119番)を手配し、お客様の状態とアレルギーの情報を正確に伝える。

  2. お客様の安全確保:静かで安全な場所に誘導し、楽な姿勢を取ってもらう。

  3. 情報収集:お客様が食べたメニュー、提供時間、体調の変化などを詳細に記録する。

  4. 謝罪と協力:お客様やご家族に対して誠意をもって謝罪し、救急隊や病院への情報提供に全面的に協力する。

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当店では、アレルギー対応、食中毒対応、自然災害対応など、経営に潜むあらゆるリスクを視覚化し、緊急時の初動対応手順を明確化するリスクマップ作成のお手伝いをしています。お客様の店に特化した実効性のある対策を一緒に構築しませんか。


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🔔 次回予告

次回、第20回は「厨房設備・調理器具の安全管理とメンテナンス」をテーマにお送りします。設備の不備は、事故や食中毒の原因となるだけでなく、日々の営業効率にも直結します。適切なメンテナンス計画の立て方と、現場で実践すべきチェックポイントについて解説しますので、ご期待ください。


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