2025年12月27日土曜日

第21回 食材の仕入れから保管まで 品質劣化と廃棄ロスを防ぐ

 こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。

さて、飲食店の経営において、利益を圧迫する大きな要因の一つが「廃棄ロス(フードロス)」です。

せっかく仕入れた食材も、保管方法を誤れば品質が劣化し、お客様への提供ができなくなるばかりか、食中毒のリスクさえ孕んでしまいます。

今回は、仕入れから保管に至るプロセスで、いかに鮮度を保ち、損失を最小限に抑えるかという「守りの経営」についてお伝えします。


1. 仕入れ時の検品が「最初のリスクヘッジ」

食材のリスク管理は、店内に運び込まれる瞬間に始まります。

  • 温度の確認: 冷蔵・冷凍品が適切な温度で配送されているか。

  • 包装の状態: 袋の破損や、段ボールの汚れ(害虫の付着リスク)はないか。

  • 消費期限のチェック: 納品された時点で、想定のサイクルで使い切れる期限があるか。

「いつもと同じ業者だから」と過信せず、入口で不良品を食い止めることが、その後の全工程の安全を担保します。

2. 保管の鉄則「先入れ先出し」と「定位置管理」

バックヤードや冷蔵庫内での管理不足は、そのまま利益の流出に直結します。

  • 先入れ先出しの徹底: 新しいものを奥に、古いものを手前に。当たり前のことですが、忙しい時間帯にこれが乱れると、期限切れによる廃棄が発生します。

  • 直接床に置かない: 衛生面および害虫対策として、食材は必ず棚やパレットの上に保管しましょう。

  • 冷蔵庫の詰め込みすぎ防止: 収納率は7割以下が目安です。冷気の循環が悪くなると、庫内温度が上昇し、食材全体の劣化を招きます。

3. 「見える化」で廃棄ロスを削減する

どの食材が、いつ、なぜ廃棄されたのかを記録していますか?

廃棄ロスを減らすための第一歩は、現状を把握することです。

アクション:廃棄ログの作成

「日付・品目・理由(期限切れ、調理ミス、オーダーミス等)・金額」をメモするだけで、自店の弱点が見えてきます。


リスクマップ作成で「経営の穴」を塞ぐ

食材のロスや衛生管理の不備は、単なる損失に留まらず、ブランドイメージの失墜や営業停止という巨大なリスクに繋がります。

金城企画では、貴店の現状を分析し、どこにどのようなリスクが潜んでいるかを可視化する「リスクマップ作成」のお手伝いをしております。創業50年の知見を活かし、現場に即した改善策をご提案いたします。

金沢・野々市・白山市の飲食店様へ

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次回予告

第22回は「情報セキュリティの基本 POSシステム、予約システム、顧客情報の保護」をお届けします。

食の安全だけでなく、お客様の大切な「情報」を守ることも、現代の飲食店には不可欠な責任です。

共に、100年続く店づくりを目指していきましょう。


2025年12月15日月曜日

第20回 厨房設備・調理器具の安全管理とメンテナンス

 こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。

さて、今回のテーマは、飲食店の生命線とも言える「厨房設備・調理器具の安全管理とメンテナンス」です。

お客様に安全でおいしい料理を提供し続けるためには、厨房機器が常に最良の状態で稼働していることが不可欠です。しかし、日々の業務に追われ、ついつい後回しになりがちなのが、この設備管理ではないでしょうか。

💡 事故リスクは日常に潜んでいる

厨房設備や調理器具の不適切な管理は、単なる故障や営業停止に留まらず、火災、感電、ガス漏れ、異物混入、従業員の負傷など、重大な事故につながるリスクを内包しています。

特に、以下の点は重大な事故につながりやすい「要注意ポイント」です。

事故リスク

発生原因の例

火災

レンジフードや排気ダクト内の油汚れの堆積、電気コードの損傷・タコ足配線

食中毒・異物混入

冷蔵・冷凍庫の温度異常、設備のサビや破損、清掃不足

ガス漏れ

ガスホースの劣化、接続部のゆるみ、日常点検の不足

従業員の負傷

包丁、スライサー、ミキサーなどの使用方法の誤り、整備不良

🛠️ 安全とコストを守るメンテナンスの3つの柱

厨房設備を安全かつ経済的に運用し続けるためには、体系的なメンテナンスが求められます。

1.日常点検(Daily Check)

従業員全員が行う、業務開始前・終了時の「目視・聴覚・触覚」による簡単なチェックです。

  • 温度チェック: 冷蔵庫・冷凍庫の庫内温度は設定通りか。

  • 異音・異臭チェック: 機器から普段と違う音や焦げた臭いがしないか。

  • 清掃・整理整頓: 汚れが機器の動作に影響を与えていないか、コードに損傷がないか。

    • ネクストアクション: 「点検チェックリスト」を作成し、責任者によるサインを義務化しましょう。

2.定期清掃・部品交換(Scheduled Maintenance)

日常清掃では手の届かない部分や、専門知識が必要な作業です。

  • レンジフード・ダクト清掃: 少なくとも半年に一度は専門業者による清掃を実施。火災リスクを大幅に低減します。

  • ガス機器の接続部点検: ゴムホースの劣化を確認し、定期的に交換します。

  • フィルター交換: エアコンや食洗器のフィルターは詰まりがないかチェック・交換し、機器の寿命を延ばします。

    • ネクストアクション: 専門業者と年間契約を結び、点検・清掃のスケジュールをカレンダーに組み込んでしまいましょう。

3.従業員の安全教育とマニュアル化(Operation & Safety Manual)

設備が新しくても、扱う人間が使い方を誤れば事故は発生します。

  • 正しい使用方法の徹底: 新人スタッフには特に、包丁、スライサー、フライヤーなどの危険な機器の正しい使用方法と清掃手順を徹底して指導します。

  • 緊急時の対応: 火災やガス漏れ、機器の故障発生時の初動対応手順をマニュアル化し、掲示します。

    • ネクストアクション: 月に一度、機器の安全使用に関するミーティングを実施し、ヒヤリハット事例を共有しましょう。


🛑 【金城企画からのご提案】リスクマップで事故を未然に防ぐ

事故を未然に防ぐ第一歩は、「どこに、どんなリスクが潜んでいるか」を明確にすることです。金城企画では、貴社の厨房を徹底的に調査し、潜在的な危険箇所を洗い出す「リスクマップ作成」のお手伝いが可能です。

日々のメンテナンスの優先順位付けや、予算配分の根拠としても役立ちますので、ぜひご相談ください。

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📚 次回予告

第21回は「食材の仕入れから保管まで 品質劣化と廃棄ロスを防ぐ」をテーマにお届けします。食品の安全と経営効率に直結する重要なテーマです。ご期待ください。

2025年12月6日土曜日

第19回 アレルギー表示と提供時の注意点 誤食トラブルを防ぐ

 

こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。

さて、第19回目となる今回は、食物アレルギーという、飲食店経営において決して無視できない重要なリスクに焦点を当てます。

近年、食物アレルギーを持つお客様は増加傾向にあり、ひとたび誤食トラブルが発生すれば、お客様の健康を脅かすだけでなく、信用の失墜重大な賠償問題にもつながりかねません。適切な表示と細心の注意をもって提供することが、お客様とお店を守る唯一の方法です。


1. 徹底すべきアレルギー表示の基本

食物アレルギー対応の基本は、正確で分かりやすい情報提供です。

表示義務のある特定原材料7品目

エビ、カニ、小麦、そば、卵、乳、ピーナッツの7品目は、生命に関わる重篤な健康被害を引き起こす可能性が高いため、表示が義務づけられています。

表示を推奨されている特定原材料に準ずるもの21品目

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの21品目は、可能な限り表示することが推奨されています。

ネクストアクション:メニューブックの再確認と原材料リストの整備

  • メニューブック:アレルゲン表示をメニューの全品目に対して明確に記載し、一目でわかるようにしてください。

  • 原材料リスト:使用する全ての食材について、各アレルゲン(調味料や加工品を含む)がどれに含まれているかを整理した最新の原材料リストを作成し、厨房スタッフ、ホールスタッフ全員がアクセスできるようにしてください。


2. 提供時のヒューマンエラーを防ぐためのオペレーション

表示が正確でも、調理や提供の過程でアレルゲンが混入(コンタミネーション)してしまえば、トラブルは発生します。

調理場でのクロスコンタミネーション対策

アレルギー対応の調理を行う際は、他の食材と混ざらないよう、調理器具、まな板、手袋を替えることは基本中の基本です。特に揚げ物や焼き物は、共通の油や鉄板の使用を避ける必要があります。

ホールでの確認徹底

お客様からアレルギーの申告があった場合は、必ず以下の手順を踏んでください。

  1. 復唱確認:お客様がアレルギーを持つ食材を正確に復唱し、聞き間違いがないか確認する。

  2. 調理責任者への伝達:伝票に目立つようにアレルゲンを記載し、調理責任者に口頭で直接伝達する。

  3. 配膳時の最終確認:料理を提供する際、ホールスタッフがお客様に対して**「〇〇(アレルゲン)不使用のメニューでございます」**と再度確認する。

ネクストアクション:「アレルギー対応専用マニュアル」の作成

アレルギー申告があった際の受付・調理・提供における具体的な手順を定めた専用マニュアルを作成し、全従業員に対する定期的なロールプレイング研修を実施してください。特に、新人スタッフへの教育は徹底が必要です。


3. 誤食トラブル発生時の緊急初動対応

万が一、誤食による体調不良(アナフィラキシーショックなど)が発生した場合、初期対応の遅れは命に関わります。

  1. 医療機関への連絡:ただちに救急車(119番)を手配し、お客様の状態とアレルギーの情報を正確に伝える。

  2. お客様の安全確保:静かで安全な場所に誘導し、楽な姿勢を取ってもらう。

  3. 情報収集:お客様が食べたメニュー、提供時間、体調の変化などを詳細に記録する。

  4. 謝罪と協力:お客様やご家族に対して誠意をもって謝罪し、救急隊や病院への情報提供に全面的に協力する。

金城企画からのご案内:リスクマップ作成のお手伝い

当店では、アレルギー対応、食中毒対応、自然災害対応など、経営に潜むあらゆるリスクを視覚化し、緊急時の初動対応手順を明確化するリスクマップ作成のお手伝いをしています。お客様の店に特化した実効性のある対策を一緒に構築しませんか。


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🔔 次回予告

次回、第20回は「厨房設備・調理器具の安全管理とメンテナンス」をテーマにお送りします。設備の不備は、事故や食中毒の原因となるだけでなく、日々の営業効率にも直結します。適切なメンテナンス計画の立て方と、現場で実践すべきチェックポイントについて解説しますので、ご期待ください。


第21回 食材の仕入れから保管まで 品質劣化と廃棄ロスを防ぐ

  こんにちは。有限会社金城企画 代表取締役の荒瀧です。当社はまもなく創業50周年を迎えます。これまで多くの企業様とともに、リスクマネジメントの現場を支えてまいりました。 さて、飲食店の経営において、利益を圧迫する大きな要因の一つが「廃棄ロス(フードロス)」です。 せっかく仕入れ...